いつまで我慢すればいいんだろう。

キミへの気持。

















「………………」



湖の近くの木の下で寝転んでのんびり本を読んでいた。
シリウスとリーマスがレポートをしていて、今日は悪戯が出来ないからその暇潰しにね。

全く、レポートくらい一時間で終わらせろよな。
本を読むのも飽きてきた。

眼鏡を外して傍らに置いて、本を開いたまま顔に置いた。
やることないから寝よう。

そう思って、目を閉じた。



「………おーい、ジェームズー」



が。
その時。

聞き覚えのある声がした。

どくん、と心臓が鳴る。
間違えるはずもない。

この声は



「ジェームズ…おお。居た」



だ。
僕の一番大切な人。

僕の横に座って、本を退かせた。

けど、なんとなく寝たフリをすることにした。(特に理由はないけど)



「なんだ。寝てたんだ」



少し残念そうなの声。
そんな声しないでよ。

起きたくなる。(起きればいい、なんて言わないでよ)



「うわっ…眼鏡外してるし」



外しちゃダメなのか。
意外そうなの声に心の中で突っ込んでおいた。

てゆーか、キミは何しに来たんだ。
レポートしなくていいの?(因みに僕はとっくに終わってる)

暫く、寝たフリを続けていたらの手が僕の頬に触れた。
ゆっくり撫でる感覚に背筋がぞくりとする。

…抱き締めたい。
そんな衝動に駆られた。



「…夜更かしばっかしてるくせに、なんつー綺麗な肌。ムカつくなあ」



ぶつぶつ言いながら僕の頬をつねる。(痛いんだけど)

そろそろ起きようかと思ったら、がまた頬を優しく撫でた。



「………ジェームズ…」



…僕の名前をそんな愛しそうに呼ばないで欲しい。(意識してるか知らないけど、僕にはそう聞こえた)

こっちは必死に抑えてるんだ。
必死に耐えてるんだよ。

への気持を。



「………よし、此処は一つ腹に力の限り蹴りを…」

「おはよう

「おわ!!び、吃驚した!」



が物騒なことを言い出したので、言葉を切ってすぐさま体を起こした。
眼鏡を掛けていないから、少し周りがぼやける。



「…なんだ。まだ寝ててよかったのに」

「そんなに残念そうに言わないでくれない?」

「あー、ごめんごめん」

「………………」



全く謝罪の色がない。
溜息を付いて、手探りで眼鏡を探した。

眼鏡を掛けてを見ると、いつの間にか僕の隣に寝転がっていた。

…なんて無防備な。
泣きたくなる程無防備な

当の本人は僕の視線に気付くなり、にっこり笑い掛けてきた。(……不意打ちはダメだよ)



「此処、気持良いねー」

「………ああ」

「ジェームズも寝なよ」

「…………………」



僕の気持なんか微塵も知らないは、のんきに寝転んだまま、ぽんぽんとの隣を叩いている。

拷問か。
の隣に何もしないで寝るなんて。

と、思いつつもの隣に寝転ぶ。(だってこんなチャンス滅多にない)



「ジェームズはレポートしなくていいの?シリウス達は頑張ってるよ」

「もう終わってるよ、そんなの」

「流石、首席」



そう言って僕の方を向いて、目を閉じた。

…ホントに泣きたくなるくらい無防備だ。
こんなに近いのに、なんで耐えなきゃならないんだ。

フザけるな。って誰にともなく言いたくなる。



「あー……ねーむーいー…」

「……………………」



目を閉じたまま、ぼそりと呟いた。

先刻まで、まだ正常だったはずの心臓が鳴り出した。
ばくばくと五月蝿い。

キスしたい。
唇に触れたい。

そんなことを考えてしまう。

なんで僕が此処まで悩まなくちゃいけないんだ。
全部、全部の所為だ。


片手をゆっくりとの頬に伸ばした。

後少しで触れる。と思ったが。



「………何してんの」

「……………………」



が目を開いてしまった。
…後少しだったのに。

心の中で舌打ちしつつも、頬を思い切り掴んでつねってやった。



「ひぎゃい。ひぎゃいよ」(痛い。痛いよ)

「何言ってるか分かんないよ」



あはは、と笑っての頬から手を離した。

は頬を撫でて恨めしそうに僕を睨んだ。
そんな顔でも愛しくなるなんて、きっと僕は末期だよ。(別にいいけど)



「ジェームズの阿呆。頬が伸びたらどうしてくれるの」

「どうもしないだろうね」

「見事につまらない返答」



は僕の手を握ってくすくす笑った。

ねぇ、なんで僕がこんなに苦しい思いしなくちゃいけないの?
に触れたいよ。

手を繋ぐだけじゃなくて、抱き締めてキスして。
ああ、こんなに我慢するなんておかしくなりそうだ。



「ジェームズ」

「ん?」

「ジェームズの手冷たいね」

「ずっと此処に居たからね」



ふーん、と言って僕の手を離した。

離さないでよ。触れていたいのに。
は僕のこと、なんとも思ってないんだろ?

でも、僕は好きなんだ。
どうしようもなく、好きなんだ。



「………

「何?ジェー…ムズ……?」



が他の男のものになるのは嫌だ。
ねぇ。好きなんだ。

だから、僕のこと、少しでもいいから想ってよ。

の両手首を掴んで、の上に跨った。



「…ジェームズさん?なんなのでしょう」

「僕さ、いつまで我慢すればいいんだと思う?」

「は?」



が好きなんだ。
その気持はいつまで我慢すればいいんだよ。

はワケが分からない。と言う顔をしていた。



「何。どういう意味」

「いいから、答えてよ」

「んー…」



は顔を顰めて考えている。
僕のこと好きじゃなくてもいいから。

他の男のものなんかにならないで。(明らかにワガママだけど)



「…よく分かんないけど、ジェームズが我慢したくないならしなくていいんじゃない?」

「………ホントに?」

「私的意見ですが」



そう言ってへらりと笑う



が言ったんだ。
僕は悪くないよ。

もう、どうなっても知らないから。

の頬に手を添えて、有無を言わせずに



「………っ!?」



キスをした。

だって我慢しなくていいって言ったし。
僕は確認取ったし。

暫く唇を押し付けていた。



「……っ、じぇ、ジェームズ!?何!?今何した!?は!?」

「色気の無い反応だなあ」



開口一番にこの反応。

それはそれでらしいからよしとする。
くすくす笑って、の唇を指でなぞった。

は口を閉じて僕を見ている。

怒らないでよ?が許可出したんだから。



「我慢しなくていいんだろ?」

「………は?」

「僕がを好きだ、って気持」

「……………はあ!?」

が『我慢しなくいい』って言ったんだよ」



楽しそうに笑っての頬にキスをした。
はわたわたしながら僕の肩を押してくる。(絶対退いてやらないけど)

ま、我慢って元々僕の性格に合わないんだよ。



「好きだよ。

「ちょ、い、意味分かんなっ…」

「だから、が好きなんだって」

「う、嘘だ!」

「嘘言ってどうするんだよ」



好きなものは仕方ないよ。
にそう言って、また唇にキスをした。

が僕を好きじゃなくても、ちゃんと好きにさせてあげるから。



しか見えないくらい好きだよ」

「なっ……!」



これからは、我慢無しで行かせてもらうよ。

くすくす笑っての唇を堪能した。




END









48 我慢 * 隼人
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