泣きたくなるような、そんな夜に。
思い出すのは楽しかった思い出と、大好きだった人。







     校内







夜遅くに一人でいるとなんだか泣きたくなった。
大切な人達がちゃんと側にいるのに。それなのに彼のことを思い出す。
彼は素直じゃなかった。でもとても優しくて。いつまでも彼の側にいたいと僕は思っていた。

自分の部屋に置いてある本棚の中から一冊のアルバムを取り出す。
これは僕が学生時代に撮った写真。友達や、恋人だって撮った。
そして、勿論彼のも。




「セブルスー!一緒に写真撮ろうよー」
「・・・・遠慮しておく」
「なんでさ」

嫌そうな顔をしたセブルスはささっと僕の前を歩いて行く。
どうしても君の写真が欲しくて、僕は君の名前を呼んだ。

「セブルス」
「まだなにかあるのか!?・・・ッ・・・・・貴様ッ!」

セブルスがこっちを向いた瞬間シャッターを押す。
純粋すぎる君にシャッターを押すのは正直抵抗はあったんだけどね?
自分の欲望を優先させたようなそんな感じ。
それはまさにセブルスらしい一枚になった。

「まだまだ甘いよ?」

ニヤリと笑うと怒ったようにセブルスは近づいてきた。
それから彼が持っていた本を投げつけられた記憶がある。



「君はまだ、そんな顔をしているのかな?」

その時の写真を見るといつまで経っても不機嫌な顔のセブルスがいる。
それがとても君らしくて。思わず笑みがこぼれる。

楽しかったね。君との思い出も、あの学校での出来事も。

沢山の友達に会えた。
沢山の楽しいことを知った。

「楽しかったね」

あの、ホグワーツでの生活はもうないのだけれど。
僕にとってはとても、とても、大切な思い出の一つ。
あの学校にいられたことを少なからず・・・・・いや、本当に。誇りに思う。

学生時代の楽しかった思い出はあの学校に今でも残っている。
クィディッチでの栄光や、悪戯仕掛け人として名前を残したこと。
そして、こっそり彫った僕と彼の名前。
あの時僕は永遠に消えないようにと魔法を掛けてその場所を後にしたのだ。






「なんだ?」

小さく彼の名前を呼ぶと彼はそう返す。
僕は彼になんて言ったら良いのか分からなくてとても迷っていた。
セブルスの髪がサラサラと風に揺れる。

「伸びたねー髪」
「・・・・そうか?」
「身長は縮んだ?」
「・・・・馬鹿なことを言うな!!お前が僕より大きくなったのではないか!」
「うん。丁度良い大きさに、ね」

ぎゅっと抱き締めると細い体は今にも折れてしまいそう。
それなのに意外と力が強くて驚いてしまう。

「楽しかったねー。今まで」
「ふん。お前がいなければもっと良かった」
「でも、僕がいなかったら退屈だったでしょ?」
「・・・・・・どうだろうな」

ここから、この学校から、離れてしまったらもう君と会う術はなくなってしまう。
ふわりとセブルスの髪から良い匂いがした。

「この匂いともお別れかー」
「お前も同じシャンプーを使えば良いではないか」
「それじゃ駄目だよ。・・・君の匂いじゃないもん」
「僕は臭くないぞ」
「うん。良い匂い」
「・・・・・変態」
「それ、褒め言葉?」

まさか!と驚いたような声をあげる。
ああ、やっぱり君といると安心するな。と改めて思う。
最後だというのに、そんな感じが全然無い。明日もまた会えるような、そんな気がしてしまう。

セブルスはふわりと笑って言った。

「幸せになれよ」






学校は僕の大切な思い出の一つ・・・・。
正確に言うとほとんどの思い出があの学校で起こったこと。
大切な人も。大切な思い出も。あの学校から。


「ありがとう」

そして僕はアルバムを閉じた。












42 校内 * 青江
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