青春パレード、僕たちの青春は止まらない。












 青春パレード













脇にたくさんのお菓子が入った紙袋を抱え、我武者羅に走る。
目的地は秘密のあの場所で、リーマスもピーターも知らない隠れ穴。
呼吸するのさえ忘れてしまう。


「遅いぞ、ジェームズ」

そこには想像通りの彼がいて、すでに辺りには羊皮紙や古い書物が散らばって
僕たちの準備が進められていた。

「ごめんごめん、僕妖精達が意外にもお菓子を僕に分けるのを渋ってね・・・」

紙袋をドサリと置くと、深呼吸をした。
外の空気と違い決して美味いとは言えない埃っぽいそれをいっぱいに
吸い込む。

「それで、次のアレはできそうか?」

敢てチョコレート菓子を避けながら好みのお菓子を探しているシリウスに問う。
彼は百味ビーンズを取り出しながら片手で一枚の羊皮紙を指差した。
それを手に取り、一通り眼を通す。
予定されている大規模な悪戯の計画が細かに書いてあり、完璧な計画書だ。

「これ全部一人で?」

「まあな」

「真剣に計画書を作ってくれるのも良いのだけれど、たまには授業も真剣に
受けて欲しいなぁ」

もちろん本心ではない。
シリウスが授業をさぼりたいのならさぼれば良いし、完璧な計画書を作成
してくれるのなら作ってくれれば良い。
彼がしたいと思うなら、僕に止める権利は無いし止めようとも思わない。

「テストで優が採れれば良いんだよ」

口に頬張った百味ビーンズがどうやら好ましくない味だったらしく
彼は顔を顰めながら言った。



「このまま、」

ジェームズは羊皮紙から顔を上げ、少し暗い表情を見せる
彼を見た。
手にあったお菓子の箱はいつの間にか無残に転がっている。

「このままこの生活がずっと続けば良いのにな」

「シリウス・・・」

「ホグワーツを卒業しないで、このまま変わらないで
ずっとジェームズと一緒に悪戯とか遊んだりしていたいのに」

息が詰まる感覚がする。
ジェームズもまたシリウス同様、このまま一緒に楽しくやりたいと強く思う。
けれどかならず卒業しなければいけないわけで、暗黒の時代と称される今日を
将来的に今の自分たちのような学生気分で気楽に考えられるはずも無い。
親友の僕たちだって、いつこの関係が崩壊してもおかしくない状況下にいる。
意思とは別の現状が呼吸困難を起こさせる。

「けれど僕たちは変わらなければいけない」

宙に吐き出すように呟く。
反響しやすいこの洞窟で、その言葉が何度も繰り返される。
シリウスはそれに目を瞑った。


「ほらほら、陰気臭い話は無し!」

すっくと立ち上がったジェームズは2、3度手を叩いた。
その音によって響いていたその言葉はかき消される。

「僕たちには今から大掛かりな仕事が待ち受けているだろ?」

ニヤリと悪戯に笑う顔は先ほどまでの暗さを全く感じさせず、
この場の空気を変えた。
それにつられてシリウスも笑うと、立ち上がった。

「それでは実行にうつるぞ、Mr.パッドフット」

「準備万端Mr.プロングス」


掛け声は無しに、二人は同時に駆け出した。
目的地は羊皮紙に書かれた「あの」場所。












青春パレード、僕たちの青春は止められない。
















28 青春 * クロ子
Please do not reproduce without prior permission.